院長の「JoJoブログ」

日本型食生活

2012-05-15 18:08:57投稿

「はじめよう糖尿病対策 日本型食生活と運動のすすめ」という患者さん向けの小冊子が医師会から届いた。薬のメーカーが作ったパンフレットほど商業性のある冊子ではないので、珍しく、隅々まで読んでみた。

糖尿病についての説明などは、まあ私も医者なので、それほど目新しいものはなかったけれど、いくつか気になる記事があった。

ひとつは、欧米人と比べて、日本人は、皮下脂肪が少なく、内臓脂肪がつきやすいという体質をもっているということ。(私は皮下脂肪ばかりだけど・・・)さらに、昔から肉や脂肪をたくさん食べてきた牧畜民族である欧米人に比べ、農耕民族である日本人やアジア人は、インスリン分泌量が、半分くらいしかないということ。
結局、大昔から続く、文化と食生活の違いによる遺伝子の違いということだ。
インスリンが半分しかでないんじゃ、糖やカロリーのとりすぎはよくないよなあ・・・

続いて、この冊子のメインテーマである食生活。2型糖尿病の減量指導では、1に食事管理、2、3がなくて、4に運動、最後に禁煙と、何よりも食事が大事とされている。運動ももちろん大事だが、結構がんばったつもりでも、大量にはカロリーを消費できないので、初めからまず運動としないほうが、成功しやすく、食事によるダイエットで少し身軽になってから運動を併用する治療法が、薬物療法よりも効果的だとかかれていた。

そして、もっとも目から鱗の内容だったのは、料理の組み合わせによる食後血糖値の違いというデータだ。主食(ごはん)と副菜(野菜)だけの食事と、主食、副菜、主菜(ここでは刺身)の食事では、後者のほうが、カロリー、糖質、脂質、たんぱく質すべてが高いにも関わらず、食後血糖値が低くなるというのだ。
エネルギー量が同じでも、たんぱく質の量で、食後血糖値がかわるということもわかっているとのこと。
以前、NHKの”ためしてガッテン”で、同じ食事でも、食べる順番を変える(食物繊維の多いものを先に食べる)ことで、血糖がかわるというのを放送していたが、それと同じようなことなんだと思う。

最後にこの冊子の締めくくりは、片手にお茶碗(ごはん)を持って、いろいろおかずを食べるという、日本型食生活がいかに大事かということがわかったでしょう。というもの。やたらとごはんごはんと書いてあるので、なんでだろうと思ったら、このパンフレットの製作は、米穀安定供給確保支援機構という社団法人だった。後援は農林水産省。
なるほどね。

いずれにしても、カロリーばかりを気にしていてもだめなんだなあと、糖尿病もその素因もない私だが、あらためて自分の食生活を反省。糖尿病は、男性より女性のほうが、寿命や他の成人病に影響する率が高いということもわかっている。予防が何よりも大切であることは、間違いない。