院長の「JoJoブログ」

ポックリ死にたい

2012-09-08 22:48:21投稿

私が1歳のころ亡くなった、母方の祖父は、「ポックリ」死んでしまったと母からは聞かされている。
ある朝、なかなか起きてこないので、起こしにいってみると、すでに冷たくなっていたそうだ。長患いすることなく、苦しまずに「ポックリ」逝ってしまって、これほど良い死に方はないと祖母も言っていた。
私も、以前は、自分が死ぬときは、「ポックリ」とじいちゃんを見習いたいと思っていた。
しかし、医者になってよく考えてみると、おそらく死因は、心筋梗塞、致死的不整脈、脳出血の類だと思われ、それほど長時間でないにしても、死の直前まで、ひとりでもがき苦しんでいたに違いないと理解するようになった。実際、救急の現場で、七転八倒の苦しみを訴えながら、だんだんと息絶えていった心疾患の患者さんをみたことがあるので、記憶のないじいちゃんのことも、ある程度想像できる。

果たして、苦しまずに「ポックリ」死ぬというのは、どういうことなのだろう。
たまたま、本屋でみつけた、佐藤琢磨著、”ポックリ死ぬためのコツ”という本を読んでみた。
そこには、目から鱗というか、一般的に考えられている「ポックリ」とは異なる理想的な「死」について老年医学を専門とする医者としての意見が書かれていた。

そもそも、「ポックリ」という言葉自体は、この本によると浄土宗の言葉「保久利」からきているそうで、その意味は、長く久しくご利益を保つというもの。もともとは、功徳を積んだ人がなくなると浄土でも利益がずっと保たれるという教えだそうで、徐々に「長生きして苦しまずに死ぬ」というような意味に変化したそう。

しかし、世の中には、病名としての「ポックリ病」というのがあって、これは、青壮年突然死症候群のこと。予期しない若者(殊に男性)が、夜間睡眠中に夢にうなされたような大きい「いびき」や「うなり声」を出して突然死するものだそうだ。

結局、突然死=ポックリ死なのかと考えると、突然死については、本人にとっては、短時間であっても死の直前は、かなり苦しむし、考えてもみなかった事故のような突然死は、家族にとっては、相当なダメージ、苦しみであって、理想的なポックリ死とは言えない。

そこで、この著者は、ポックリ死の条件を次のように言っている。
1)健康に長生きしたこと
2)脳と体が同じような時期に衰え、体調が悪くなってから比較的短い期間で、しかも苦しまずに他界したこと
3)家族も「長生きしてもらった」という達成感や納得感、安堵感、満足感を得られたこと

そして、その条件を満たすための生き方には、7つの習慣が大事だという。
1)長生きするように心がける(太く短くとは考えない)
2)古脳を鍛える(本能に忠実であれ)
3)下半身を鍛える
4)バランスの良い食事を摂る
5)疲労の管理に注意する
6)がん検診や健康診断を受ける
7)頑張りすぎないようにする

ポックリ死ぬということは、イコール健康で長生きということだ。
そのためには、40代からの生き方、習慣が大事ということ。

う~ん、ランニングは頑張りすぎず、でも鍛えなきゃというのが、読後の私の感想。