院長の「JoJoブログ」

”間”を考える

2014-06-13 20:50:00投稿

ビートたけし著 「間抜けの構造」(新潮新書)を読んだ。

特別、彼のファンということではないけれど、一般人とは一味違う才能を持つ彼の著書を一度は読んでみようと思ったことと、本屋で目にした、「”間”のとりかたで世界は変わる。」という帯が気になったせいで買った本。

前半は、主に彼の本業(今も?)である漫才のことや、落語、テレビの話などで、私にはあまり関係のない世界の”間”だったが、スポーツの”間”、日本人の”間”、人生の”間”など、後半は読んでいて思わずフムフムとうなずける内容だった。
彼がいうように、”間”というニュアンスは、日本語、日本人に独特の感性からなっており、どうやっても英語には訳せない。それこそ、外国語に訳しても、行間を読むことが、”間”なのかも。

そこで、私にとって普段の仕事で、大事な”間”とは、どういう場合だろうと考えてみた。

毎日、患者さんから話を聞き、診察後に説明するという行為を、朝から晩まで続けている私の仕事は、以外にもしゃべる仕事。外来診療だけなので、診療時間の6割はしゃべることに費やされている。
検査をしながら、異常がみつかったら、どのように”間”をとって、説明しようか、患者さんが立て込んでいるときは、少しでも急いで”間”をとらずにいかなきゃ、とか・・・結構自分でも、普段、”間”を考えているように思う。
ただ、その”間”のとりかたで、患者さんにうまく伝わらないこともよくあるし、逆もしかり。患者さんが訴えているのを傾聴するのも、それなりに大事なんだけど、それを遮って口をはさむのは、本当にタイミングが重要。まさに、これが”間”そのもの。
著者いわく、相手の呼吸を読んで、息をすった時に、口をはさむのが上手な”間”のとりかただと。相手が息を吐いているときに口をだすのは、”間抜け”ということになるらしい。

これからは、少し、相手の顔色だけでなく、呼吸もうかがえるようになって、うまく、患者さんとやり取りできる、間抜けでない診療を目指したい。