院長の「JoJoブログ」

「夢」

2016-12-03 11:24:46投稿

11月30日に下松で、リオパラリンピック、マラソン銀メダリストの道下美里さんが、小学校で講演されたことの記事が翌日の新聞の地方版に掲載されていた。その記事の見出しは、
=児童ら300人「夢」持つ大切さ学ぶ=

テレビや新聞、インターネットの報道、広告などで、「夢」という言葉を見ない日はないほど、その言葉は世間にあふれている。
子供たちに「夢」にむかって頑張ることの大切さを語ることは、当たり前のことで、深く考えたこともなかったが、最近、
「夢があふれる社会に希望はあるか」
という過激?ともいえるタイトルの本(児美川孝一郎 著 ベスト新書)を偶然みつけたので、読んでみた。
サブタイトルとしては
”「夢追い型」キャリア教育の功罪”
現在大学生のわが子が、卒業後、どんな仕事に就くのか、少々気になっている親の立場としては、「ん?」となってしまった。

40歳代を対象としたアンケート調査では、”子どものころ夢にみていた職業に就けましたか?”という問いに、91%の人が、”就けなかった”または”一度就いたけど辞めた”と答えているとのこと。
一流のスポーツ選手など、夢を実現させた人が、「あきらめなければ夢はかなう」と子供たちに説くことが、悪いとはいわない。しかし、「努力すれば夢はかなう」というのはある種の迷信だと、みんなどこかで気づいているはずなのに、夢がかなえられなかったときにどうすべきかについて、誰も言及しようとしない。
その現実を正面からとらえ、周囲の理想論に惑わされずに人生設計をする方法とは何かを伝えたいというのが、この本の趣旨だ。

読み終えて感じたことは、過激なタイトルに比して、内容は全く過激ではなかったなぁ…というとこかな。
結局のところ、夢にとらわれず、視野を広げて、一つのことが実現できなくても、その周りに目を向けて新たに挑戦していく。職業だけがすべてではなく、趣味や社会活動など、自分の根底にある気持ちを大切にしていくことなど、色々なパターンを示しながら、キャリアデザイン学部の教授として、若者に伝えたいことが書かれていた。

読みながら、自分自身のことを考えてみると、私は、小学生のころから夢みていた医者という職業に就いた数少ない幸せものなんだなと思った。「夢」としては、精神科医になる予定だったところ、産婦人科医になったのは、消去法ではあったけれど、この本には、消去法も良い方法と書いてあり、なんだかほっとした。

結局、「夢」にとらわれ、「夢」を追い求めるだけで何もみえなくなるとよくないし、「夢」が見つからなくても、絶望することはないし、というところ。
高校生、大学生には、是非、読んでもらいたい本だ。