院長の「JoJoブログ」

澤穂希さん

2017-11-06 23:04:53投稿

 この週末、日本女性医学学会に参加するため、大阪に行ってきた。

女性医学学会は、以前は、更年期医学会と呼ばれていたけれど、思春期から老年期までのすべての女性の健康のためにということで、名称変更になった学会。最近では、東京オリンピックにむけて、女性アスリートの健康についても、結構取り上げられている。
今回、この学会の目玉企画は、女性アスリートの健康管理について、女子サッカーの澤穂希さんが、ゲストとして登場してくれるというものだった。
そもそも、医者の参加する学会というのは、医学関係者以外はあまりお呼びでない。時々、政治がらみだったり、患者代表の芸能人だったりで、いわゆる医学とは無縁の人が講演したりすることもあるが、そんなに有名な人が来てくれることはない。というか、呼ばないのか、呼んでもお断りなのか知らないけど・・・

今回、澤さんが学会参加を快く引き受けてくださったということで、なんだか、お偉い先生たちも興奮されているみたいで、ちょっとそれも、おもしろかった。
実際には、澤さんの講演が聞けるのかなと思ったけれど、澤さんとお偉い産婦人科の先生方とのトークショー的なもので、内容はそれほど濃いものではなかった。ただ世界的に有名な選手だった人が、引退したとはいえ、ご自分のプライバシーに関することを、普通に語っていただけたということが、とにかく、有意義だったと思う。
その、内容というのは、30歳ごろから、月経周期の調節などのため、いわゆるピルをずっと内服されていたということと、結婚、引退した直後に、ピルをやめ、ピルをやめた周期で、すぐに妊娠されたということだ。
現在、欧米の女性アスリートの大多数がピルをのみ、パフォーマンスの向上に貢献しているというのは、産婦人科の中では当たり前の話。月経周期によるパフォーマンスの低下はデータで証明されているし、月経痛の治療薬としても、保険診療で処方可能なのだから、スポーツ選手が利用しない手はないのに、飲んでいるのは1割にも満たないのが日本の現状。
澤さんの影響で、サッカー選手はかなり飲んでいるとのことだったけれど、これから東京オリンピックに向けて、ほかの競技の選手たちにもぜひ飲んでもらいたいというのが、女性医学学会として強くアピールする点だった。

まあ、ナニはともあれ、有名人を間近で見れたミーハーな婦人科医としては、澤さんの力で、今後、女性アスリートの間に、ピルが広がっていくことを願うのみ。