院長の「JoJoブログ」

母校の後輩たちへの思い

2018-11-15 23:45:04投稿

 ひょんなことから、母校の大学で、女子医学生と女性医師の交流会に招かれ、講演する機会をいただき、今日山大医学部に出かけてきた。
おりもおり、医学部入試の女子差別の問題が話題になっている今日このごろ、女性医師に限らず、働き方改革が叫ばれる時代に、今まで私が医者として、母として、歩んできた道のりを、学生さんたちの前で話させてもらった。
実際、私が医者になったころは、女子医学生は2割もいなかったし(ちなみに同級生120人中女子21人)産婦人科女性医師は1割もいなかったので、自分自身には、ロールモデルとなる先輩はおらず、出産後の仕事復帰のときには、ただただ毎日を駆け抜けていた気がする。というより、睡眠以外の時間は、目の前の医者の仕事という労働と家事育児という家庭内労働だけですぎていったたために、実際に何をしていたのか記憶に残っていないのだ。もっと昔の楽しかった学生時代のことはよく覚えているのに、である。
最近読んだ、話題のベストセラー、「老人の取扱説明書」(平松類 著 SB新書)という本に、高齢になると、昔のことは覚えているのに、最近のことは覚えていないということがよくあるけれど、人間が覚えていることは、結局、楽しかったこと、うれしかったことが多く、ネガティブな昔のことは忘れやすいと書いてあった。
幼い息子二人を育てながら、当直、時間外免除などなくフルタイムでお産ばかりみていたその当時について、とにかく、あのころは、大変だったなとは思うけれど、具体的なことを覚えていないのは、まさにこのことなんだと思い知らされた。仕事を辞めることを考えたことがないというとウソになるけれど、ただひたすら仕事をこなしていたら、そのうち子供も育ち、なるようになったとしかいいようがないのだ。
ワークライフバランスという言葉も最近だし、過労死を防ぐための法案までつくられる今の時代だけれど、色んな仕事をしているすべての国民が同じような考えを持たない限り、ガラスの天井が突き破られることはないと思っている。個人的には、全国民の仕事時間を6時間と決めれば、平和になるのになと思っている。6時間を超えて働いてもいけないし、仕事を6時間もしないのもいけない。働かざる者食うべからずなので、必ず報酬のある労働につく必要があり、専業主婦はなし。逆に、家事などの無報酬の労働をすべて人に任せるのもアウト。当然、自分の子供は自分で育てる。父、母問わず。
そんな夢のような社会が実現することはないと思うけれど、ともあれ、後輩医学部女子学生には、ワークライフバランスのとれた実りある人生を過ごしてほしい。