院長の「JoJoブログ」

踏切

2020-12-23 23:55:41投稿

今月2週目から、クリニックすぐそばの踏切工事が始まり、全面通行止めになった。
2階の診察室の窓から踏切はよく見えるし、”カンカンカン”という音もよく聞こえるのだが、自分にとっては、線路や踏切は、空気みたいな存在。というのも、大学時代、研修医時代、小野田市民病院時代と、出たり入ったりで合わせて約10年を過ごした宇部では、4回住む場所を変えたけれど、そのうち3回は線路沿いで踏切のそばだったので、電車の音、踏切の音というのは、なんだか自分の中になじんでいるのだ。
まあ、地方の単線だから、都会のようにひっきりなしに電車が通ったり、開かずの踏切ということではなかったので、迷惑に感じることがなかったのだろうけど、電車のリズム音がなんとなく自分の脳みそにあっているのかもしれない。学生時代、アパートの自室で電話で話しているとき、電話の向こうの相手が、「今、電車通った?」というほど、電車の音が良く聞こえていたのにもかかわらず、そういわれて初めてその音に気づくほど”ガタンゴトン”を気にしたことがなかった。
クリニックを開業してから、1日に過ごす時間は、寝る時間を除くと、自宅よりもクリニックのほうが長いので、”ガタンゴトン”は今も染みついている。14年の間には、線路に飛び込み自殺があったり、踏切に雷が落ちたりと、ちょっとした事件もあったけれど、片側交互通行しかできないこの踏切を、2車線に広げる工事をするという工事会社からの連絡があったのは、かれこれ4年?5年?も前のこと。当初の予定はどうだったのかわからないけれど、連絡をもらった時は、数か月で終わる工事だと思っていた。その後、踏切に通じる道路の幅は広がったけれど、踏切は一向に交互通行のまま。全国各地で自然災害もあり、建築業界が大変で、こんな田舎の踏切工事なんて、後回しになってるんだろうなと勝手に思っていたが、あまりにも、工事がすすまないので、予算的に廃止になったのかもと想像していた。
忘れかけていたころ、ついに、踏切を通行止めにして工事が再開されるという知らせ。歩行者は通れるんだろうとこれまた勝手に思っていたら、歩行者も24時間渡ることはできず。
そもそも、結構な交通量があって、交互通行じゃ困ることも多いから2車線になるわけで、この踏切を通る人、車はかなりの数。クリニックのスタッフも踏切が通勤路になっている人はいるし、踏切を渡ってすぐのところにある郵便局には、相当お世話になっている。100mもなかった郵便局まで行くのに、1㎞以上迂回しなくてはならないのは、ちょっと困る。
診療の合間などに、何気なく、窓の外を見ていると、1日に何台もの車が、通行止めを知らずに道に入ってきて、診察室の窓の下で、Uターンする。あまりにも、何台もやってくるので、1時間に何台Uターンするか、クイズにしたくなる気分。
工事が始まり"カンカンカン"の音を聞くことはなくなったけれど、今までと変わることなく"ガタンゴトン"と電車は通る毎日。工事が終わるまで3か月。不便に愚痴をいいつつ、工事の進捗状況を見守っていくのを電車に乗って遠出のできないこのご時世の小っちゃな楽しみとしよう。