院長の「JoJoブログ」

オッサンの壁

2024-01-18 23:57:52投稿

先日、JALの新社長に、CA出身の鳥取三津子さんが就任すると決まったことがニュースとして報道された。大手航空会社の社長で初の女性ということ、CA出身ということなどで、話題性が高かったし、私自身、「JALやるじゃん。」とうれしく思ったのも確か。
けれど、この”女性初”というのは、いつまでついてまわるんだとうなと、うれしさ半分、女性の活躍度が、世界最低レベルの日本という国の悲しさも半分、という気持ち。
このニュースのちょうど前の日に、佐藤千矢子著「オッサンの壁」という本を偶然読んでいたので、また”女性初”か・・・となったのである。
鳥取さんも佐藤さんも、私と完全に同世代で、1985年に施行された男女雇用機会均等法の第一世代の女性の一人だ。私自身、研修医で関連病院に派遣されたとき、色々と「産婦人科の女医さん初めて」状態でおきたトラブルを経験しているし、ロールモデルがいない中、何とか、子供二人を育てながら、当直、産直をこなす生活を続けてきた。それから30年あまりたった現在、少なくとも、医者の世界、特に産婦人科医の世界では、女性が3割くらいになっているので、かなり、女医さんだから・・・といわれるような機会は少なくなっているのではないかと思う。そもそもこの”女医”という言葉、いかにも女性が男性とは別扱いなので、いやなんだけど・・・
そしてJAL社長就任の話題に引き続き、今日は、日本共産党に初の女性党首田村智子さんが選ばれたというニュース。これまで、旧社会党の土井たか子さんや福島瑞穂さんなど、女性の党首はいなくもなかったけれど、共産党で初めてというのも意外な感じ。いずれにしても、与党の党首が女性にならない限り、日本の首相が女性にはならないのだけど、とにかく、日本という国は、男性による男性のための政治をこれまで行ってきているので、男女半々の国の法律は、男女半々で決めてほしいなと思う。
これまで、いま旬の政治資金パーティーや、証券取引所ののシーンなど、テレビで、政治経済のニュースとなると、画面に映るのは、とにかくオッサンばかりで、いつもうんざりしていた私。
「オッサンの壁」は、”女性初の”全国紙政治部長となった佐藤さんが、自らの政治記者としての半生を振り返り、いかに、政治の世界が、男性中心でまわってきたのかということを書いた本。男女雇用機会均等法の第一世代として、とにかく、セクハラにあいながらも、男たちと同じように、長時間労働に耐え、オッサンの壁を超えようとしてきたけれど、これからは、壁は超えるものではなく、壊すものだという考えにたどり着いたとのこと。そして、男は仕事、女は家庭を守るという、日本に染み付いた考えを変えていくには、壁を壊して環境を変えていくことが必要だと説いている。
佐藤さんと同様、テレビ解説でもおなじみの、元朝日新聞AERA編集長の、浜田敬子さんも、これまた、私と同世代(しかも山口県周南市出身)だが、女性がどうやって企業で働きがいをもち、中心となっていくべきかを「男性中心企業の終焉」で著わしている。
結局のところ、政治家にしても、大企業の管理職にしても、これまでの男たちの働き方、環境を壊していかないと、ガラスの天井もなくならないし、”女性初”というまくら言葉もなくならないんだと思う。
近い将来、日本の政治家、企業の管理職の3割以上が女性になることを信じ、鳥取さん、佐藤さん、田村さん、浜田さんといった、同世代の女性たちを応援していきたい。