院長の「JoJoブログ」

白衣

2024-02-29 10:54:33投稿

昭和の終わりに、医学部に入学して以来、白衣というものは、自分にとって、常に目の前にあるものであり、医療業界に身を置いている限りは、縁が切れることはない。
”白衣の天使”と呼ばれていたのは、昭和の看護婦さんたち。白いワンピースに白いストッキング、そしてナースキャップを被ったその姿が”天使”だったわけだけど、令和の時代、そんなかっこうした人、どこにおんねん?という感じ。
そもそも、白衣というのは、白が清潔という大前提から始まっていると思う。汚れが目立つから、汚れたらすぐに気づいて、交換するのは、確かに黒っぽいものよりは効率的かも。ただ、ナースに関して言えば、白のストッキングは、伝線するとすごく目立つし、キャップにいたっては、長い髪をまとめて入れておく意味はあると思うけど、短い髪の場合、ピンでとめまくって頭痛の原因になりそうだ。私はナースではないので、実体験はないけれど、一緒に働いていた看護婦さんたちはそのように見えた。
そうそう、その「看護婦さん」という呼び名。昭和の時代、看護は女性だけの仕事として定着していたので、看護婦という呼び名を疑問に思う日本人はいなかったのだ。まれに男性がいるときは、「看護士さん」と別扱いで呼ばれていた。これが、1985年男女雇用機会均等法からの流れで、2001年に「保健婦助産婦看護婦法」が「保健師助産師看護師法」という名称に変わったことで、2003年3月から男女ともに「看護師」になった。おそらく、そのころから、ナースのユニフォームも、ワンピースが廃れてきたように思う。そもそも、看護の仕事なんて、半分は肉体労働で、患者さんを抱えたり、介助したりするときに、ワンピースなんて動きにくいったらありゃしない。(と、私は見ていて思っていた)ワンピースに限らず、スカートというファッションは、どう考えても労働に向いておらず、見た目重視としか考えられない。やっぱ、ズボン姿じゃ”天使”に見えないしな・・・
そんな時代の流れとともに、看護師のユニフォームは半白衣にパンツというスタイルに移行し、最近では、白という色もかなり下火になっている。スクラブと呼ばれる、半袖Vネックの上着。これは、ごしごし洗うという意味の”スクラブ”が語源となって、強く洗っても生地が傷みにくいということで、以前は手術着としてしか使われていなかったんだけど、最近では、総合病院あたりから広まって、普通のユニフォームとして定着しつつある。そして、色も単色ではなく、完全に作業着だったスクラブとジャケットの中間のようなデザインになって、ツートンカラーや花柄なども珍しくなくなった。
肝心な医者のユニフォームについて・・・私が医者になったときは、男性はネクタイをしめた上に白衣、女性は襟のある服の上に白衣、そして、靴は革靴というのが、”正装”とされていた。これまた、動きにくく、見た目重視以外の何ものでもないと思う。研修医のころ、白衣からのぞく私服について、毎日頭を悩ませていた自分。とりあえず、ブラウスはとっかえひっかえ、30枚くらいは持っていた記憶がある。
男性医師の場合、ケーシーと呼ばれるタートルネックのようになった半白衣を着ている人もいて、放射線技師さんもよく着ていたけれど、女性医師が着ることはまずなく、私もああいうのが楽でいいなと思っていた。
平成の30年の中で、そんな白衣の歴史はどんどん変わっていって、いわゆる白衣は、病院において目立たない存在になりつつある。そうはいっても、白い羽織物としての白衣は、消えることもなく、科学実験をする場合などでは有用性があると思うし、自分自身、休日や、他院で診療するときは、私服の上にその白衣を羽織ることはまだあるけれど。

2007年、クリニックを開業するとき、全体的な雰囲気を”病院”というより”美容院”のような感じにしたいなという希望が私にはあった。自分を含めたスタッフのユニフォームも、いわゆる白衣は絶対いやだったので、エステシャン用のカタログから選んだのが始まりだ。その後、スタッフの意見をとりいれつつ、着ていて暑いだの、すけるだの、色々不満が出るたびに、数年おきに変えてきた。現在のユニフォームはこれまでで一番長く使っているものだし、評判もまあまあだったけど、久しぶりに気分一新、この春からすべて変えることにした。
決して白くない白衣だけど。