院長の「JoJoブログ」

ミクロとマクロ

2024-06-12 23:56:19投稿

今、読んでいる本、香取照幸著「教養としての社会保障」
この著者は、厚労省で、年金制度を改革し、介護保険をつくった、異能のもと官僚というお方。
本のコピーに、社会保障について素人にわかりやすく書いてあるとあったので、医療に携わる一人として、読んでおいたほうが良いかなと思い、電子書籍で購入。
そして、読んでみると、なるほどと納得のいくことばかりで、厚労省の官僚みんながこのような考えかどうかは別として、政治に携わる人の考え方、その仕事の重要さを再認識させられた。

本の中で何度も繰り返されているミクロとマクロという概念。
ミクロというのは、個人ということで、給料が安いとか、教育にお金がかかるとか、介護が必要になっても施設にすぐ入れないとか、色々な問題について、社会保障を見る目は、人によって全く違うということ。マクロというのは、制度や仕組みを作るうえで、人口動向や世界経済などを踏まえて、よりよい社会保障はどういうものかを考えるということで、一つの方向をむいていなくてはいけない。
そうはいっても、少子高齢化、地球温暖化の問題は、マクロとしては待ったなしで、ミクロの意見をいちいち考慮している暇はなく、今後の社会保障にも大いに関係しているということ。
実際、自分自身の気にしていることや、仕事上の問題などは、マクロ的にはほぼ大したことではないことに気づくと、大らかな気でいられるようにも思う。逆に、私個人ができることは、限られているけれど、個々の努力、積み重ねがマクロを動かしていくこともあると思うと、頑張んなきゃとねとも・・・

今月、診療報酬の改定があって、一町医者(ミクロ)としては、色々文句を言いたいこともあるっちゃあるんだけど、著者によると、日本の医療制度(マクロ)は、世界一であり、誇らなければならないとのこと。国民皆保険を実現し、だれでも、かかりたい病院にほぼ待つことなく受診できる国は、世界中探しても、日本だけだそう。そして、衛生的にも優れ、健康寿命も長いことから、WHOも日本の医療制度は世界1位と発表しているほど。
日々、診療報酬への不満を感じたら、世界1なんだからと言い聞かせて仕事しなさいということだなと、この本を読んで思ったのでありました。