院長の「JoJoブログ」

チケット

2021-01-27 21:36:07投稿

2020年3月、韓国の釜山で卓球の世界選手権が開催される予定だった。
世界卓球は、個人戦と団体戦が隔年で開催されており、この年は、団体戦にあたる年で、東京オリンピックの前哨戦と位置づけられ、メダル獲得を狙う日本選手団にとっては、きわめて重要な大会だった。

釜山と言えば、福岡空港から1時間でつく外国。山口県民にとっては、東京よりも近い。
研修医のころ、一度ソウルに行ったことがあるが、それ以来、韓国に行ったことはなく、世界選手権の日程が、週末が団体戦の準決勝で、実力通りだと、日本選手団のヤマ場となる試合になるはずだったので、絶対みに行きたい!!となり、2泊3日の予定で行くことを決意。
楽しみは、決めたらすぐ行動するのが大事とばかり、さっそく旅行代理店に出かけ、釜山ー福岡の往復航空券とホテルのパックを予約したのが、1月中旬。さすがに、旅行会社では、世界選手権のチケットまでは、めんどうみてくれないとのことだったので、国際卓球連盟(ITTF)のサイト(当然英語)から大会ホームページをチェック。「GET TICKETS」のバナーあり、クリックすると、そこからは、韓国のHANATOURという旅行会社のホームページにつながるようになっていた。いきなりハングル語のページに戸惑ったものの、今時のネット画面は、英語、日本語に翻訳することができて、クレジットカードの番号を入力するなど、セキュリティ対策に一抹の不安を覚えつつも、入力完了し、チケットを入手。手続き後、送られてきたメールが、これまたハングル語だったが、無事チケットをゲットしたことは確認できた。チケットそのものは、メールの情報を、当日、会場で見せるというものなので、大丈夫かなと思いつつも、まだ見ぬ世界トップ選手の戦いにワクワクの毎日。
今度は、本屋にでかけ、海外旅行定番の、「地球の歩き方」他、旅行雑誌の韓国、釜山編を購入。本を眺めながら、数時間で周れそうな観光地や、美味しそうな店をチェックするのを寝る前の楽しみとしていた。

そんな中、2月になってから、アジアを中心にパンデミックの波が押し寄せ、中旬には、世界卓球の延期が決定。オリンピック直前の6月の終わりに、曜日を替えないで、大会が組まれるということになった。延期が決まってから、旅行代理店のほうは、まだ1か月あったので、手数料なしですぐにキャンセル。その後、HANATOURから、英語のメールが届き、チケットのキャンセルを受け付けるが、何もしなければ、そのまま6月の大会のチケットとして使用可能との内容だったので、6月に行けるかどうかはわかんないけれど、そのままにしておきましょうと手続きはしないでいた。
そして・・・その後もCOVID-19は収束の気配なく、5月になってから、6月に開催予定だった大会は、10月に延期との知らせ。今度は、チケットに関するメールが届くことはなかった。大会が開催されても、絶対無観客だろうし、私が釜山に行くことはもうないだろうなと思ったが、確認のためHANATOURのホームページを開いてみると、ページはあるものの、写真などはすべて削除され、数行のハングル語のみ。翻訳バナーも作動しないしで、旅行会社はこのご時世で、潰れちゃったのかもなと思っていた。倒産したとすれば、当然、チケット代が返ってくる見込みはないだろうし・・・日本円で12000円程度くらい、イベントの激減で困っている人たちへ寄付したと思えばいいや、と考えることにした。

その後、日々の暮らしが様変わりして、海外どころか、県外に行くこともはばかられる毎日を過ごすうちに、世界卓球のことなどは、忘れていた・・・というよりも、寝室に置かれた「地球の歩き方」を見ると、悲しくなるので、考えないようにしていたら、再々々延期ののち、ついに中止決定。まあ、このご時世、オリンピックだってどうなるかわかんないのに、世界卓球がなくなっても、誰も文句はいわないよなぁ。ましてや、私の楽しみがなくなったことなんて、世界中の困っている人に比べたら・・・

そして、今週になり、突然届いた、ハングル語のメールにびっくり!!
ハングル語のメールなんて、世界卓球チケットのこと以外で届くわけもないし、ハングル語が全く読めない私でも、いくつかのアルファベットと数字を見れば、それが払い戻しの内容であることは、すぐに理解できた。チケット代金のことなんて、すっかり忘れていたし、全く、期待もしていなかったし、寄付して当然と思っていたし。そして、さらに、驚いたことには、私は、いつもメールはOCNのWebメールを使っているのだが、Internet Explorerではできなかったけど、GoogleChromeでメールを開いたら、なんと、右クリックに「日本語に翻訳」という機能がついていることを偶然発見したのだ。初めは、ハングル語のメールを印刷して、あとで、スマホのカメラで読み取る翻訳機能を使って、何とか読んでみようと思っていたので、あまりうれしいことがない、今日この頃、クリックひとつでメールが日本語になることに、感動してしまった。
内容は、やはり、手数料なしで、クレジットカードに返金しますというものであり、メールをみた瞬間のうれしい気持ちは、大会が開かれていれば、多額の収入が得られたであろう会社にお金を返してもらわなくても・・・という申し訳ない気持ちにすぐに変わっていた。返金していただかなくて結構ですという意思を伝えようにも、日本語以外では、伝える自信は当然ないので、そのままにするしかないのだけど・・・

1年前に購入したチケット代が戻ってきたこととは、当たり前と言えば、当たり前。でも、世界中の交通、宿泊、イベント関連、チケット関連の会社で働く人たちのこの1年の大変さを思えば、複雑な思いだ。